Only
最後まで、嘘をつく。
ごめん、父さん。
再婚して、心から祝える日が来るのは、まだまだ遠い未来。
だけど。
幸せになってほしいから。
俺らの、分まで。
俺ら“兄弟”の、願い。
「すまない…情けない父さんを、一生かけて恨んでくれ」
「何でだよ。恨んでどうするっつーの。
ただ…いつまでも俺らのことを気にしてたら、恨むわ」
「分かった…ありがとう、光と、輝さん」
そう言って笑った父さんの顔は、どこか哀しげで、胸が締め付けられた。
涙がじんわりと視界をぼやかしていく。
それを気付かれないように
「俺、家入るわ」
と誤魔化して、家に入った。