Only
泣きそうになった……その時。
突然、あたしのスマホが鳴った。
着信は、大地。
「出るなよ」
電話に出ようとしたあたしの腕を掴んで言う光。
「でも…大地、が」
「いいから!!」
光のあまりの威圧に驚いてしまう。
「でも…あたし達、付き合って…」
「誰が認めるって言った?」
「…は?」
さらに顔を近付けてくる光。
鼓動は、激しさを増していく。
大地への罪悪感とともに。
「お前だけは譲れねえ」
掴んでたあたしの腕を離しながら、光が言った。
「覚えとけ」
そう言って、部屋を出ていく。
あたしの心は、掴まれたままだった。