Only

どういう…事?

お母さんが、何を謝る必要があるの?

「本当は、知ってたのよ…あなた達の関係を」

お母さんが目に涙を溜めて言う。


「輝が、『宮本さんって知ってる?』って訊いてきたその日の夜。
家の前であなた達2人が何か話してるのを見てね。
…気付いたの。2人の事を」

…見られてたんだね…

光と別れたあの日。

お母さんは、あたしが声を殺して泣いてるのも、気付いていたの?

「それで、本気で迷ったの。私が諦めるべきだと、一番に考えた。
…でも、辛そうな輝を見て、私のために、そこまでしてくれてるんだって
自分に言い聞かせて…
再婚の道を選んだのよ」

「お母さん…」

気付けばあたしの頬に、涙が伝っていた。


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