Only

静かに祭壇前に足を進めると。

光が手を差し出してきた。

「……?」

あたしの手に何かを置く光。

少し…重い何か。

金属かな?


「4年後、またここに来ような」


そう言ってあたしの手のひらから手を離した光。

あたしの手のひらには…


銀色に光る指輪が乗っていた。


「…これって…」

「ペアリング。まだ早いけど…
これは今はネックレスにして、4年後、別の婚約指輪渡すから。」

得意気に。

いつもの意地悪い笑顔。

でも少し真面目なその顔で、光は言った。



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