さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「パパっ!これ、見て、見て」

「パパ」と呼ぶことを父がいやがっていることは、あたしはよく分かっているけれども、あえて「パパ」と呼ぶ。

カタカナの似合う父親にあこがれているから。


「なんだ?」

いつものように不機嫌だった。


「ジャーン、北海道~」

パンフレットを、父がつついている鯖の味噌煮の前に広げた。


時計台の写真が見える。キタキツネの親子の写真も。

「夏休みに、麻理(まり)と、北海道に行きたいんだ~♪」

< 4 / 211 >

この作品をシェア

pagetop