理想の都世知歩さんは、
【SIDE 山羊 二雲】
透き通るような綺麗な髪をした男の人が、衵の影を追って溜め息を吐いていた。
「――…誰?」
その言葉を口にしつつ人が変わったように私と目を合わせる。
「貴方こそ誰」
「…」
尋ねたいことは、そんなことじゃない。
何を衵に言ったの?
このアパートの一階にいるんだから、このアパートの住人だってことは予想出来る。
自動販売機と、コンビニで買ってきたジュースが水滴を溢れさせていた。
相手も、私が衵と友人だってことには気付いたのかもしれない。
「あー、友達か。今上上がらない方がいいと思うけど。っつうか帰った方が」
何を苛々してるのか知ったこっちゃないけど。
何で誰かも知らない男にそんなこと言われなきゃならないわけ。
「いいえ、お構いなく」
偉そうに衵のことを口にする奴が兎角気に食わない。
「ここ俺の家なんですが」
「だから何?じゃあ入ればいいじゃない」
自分が上に行かない方がいいとか言ったんだから、自分が帰ればいいじゃん。
思い切り嫌そうな顔をされる。
「何なの」
誰なの。
何で。
衵の額にくちづけなんかしてたの。