理想の都世知歩さんは、




袿くんが声にならない唸りを上げた後、私は最低最悪野郎と肉を巡って喧嘩になった。


こいつ、特上がないとか呟きやがったんだ!

何て奴!?

「あんた今何て言った?」

「は?うるせぇな、前々から思ってたけど一々突っ掛かってくるんじゃねーよ…突っ掛かりババァ」
「あんたより年下だよ」

「へー見えないね。老け顔?」

「はあ!?」

「お前黙ってらんねぇの?食事中に唾飛ばすな。汚い」
「飛ばしてないし!!」


アハハ、と適当な声のまま次々に選り好みせず肉を焼いては口に放っていく袿くん。

一応、都世地歩さんの受け皿にもお供えしてあげていた。


焼いては吸い込むように自分の取り皿に肉を置いていく最低最悪野郎。


睨むと、「何?全部食うよ?」と憎まれ口をたたいてきた。


「別に取ってほしいなんて一言も言ってませんが」
「誰が取るって?気色悪い」

「…。焦げろ焦げろ焦げろ」


袿くんはまたアハハと笑う。

本当に笑っているのかどうかは分からない。


すると暫くログアウトしていた都世地歩さんが吃逆して、自らのその声で身体を起こした。


「あ」「あ」

最低最悪野郎と被ったことで少なからず顔が歪む。



都世地歩さんの目尻は真っ赤になっている。





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