理想の都世知歩さんは、




凄く大きな声で泣くから、うるさくて堪らなかった。


何処から声がするんだろうと思っていたら、傍に小さな橋があって、整備された小川があった。

僕は思った。


僕が此処に落ちたら、気付く人はいなくて、もしかしたらお父さんも気付かないんじゃないかって。


思ったら、涙が零れそうだった。


僕が此処に落ちたら、自分の力で上らなきゃいけないんだなぁって。



まだ子どもは泣いている。


すると遠くで声がした。




「あこめ」って呼ぶ、ひときわ大きな声。





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