理想の都世知歩さんは、
「だめだめ、流石に飛び級し過ぎじゃないですか空気を読もう!空気を!」
「空気?ああ、おまえが今言いたかったとか言って勝手に読むのを放棄した空気のこと?」
「その節はすみませんでした」
「…はあ、じゃあ今日は諦「ご、ごめんね都世地歩さん、私心の準備でいっぱいいっぱいだから、あの、……二、三年後とかだっ――――ッん!?」
「馬鹿なの?」
お詫びに入っていた私の後頭部を鷲掴み、強引にくちづけした都世地歩さんはそう、キュン死ワードを言い放った。
五分後、何とか再起動した私は都世地歩さんにそういえばね、と続ける。
「何から言ったらいいかな。まあいいか。都世地歩さん、リオンマン好きなんだよね」
「うん大好き。初代成海さん」
即答だな。
私の時は躊躇っていたのに、私お父さんに負けたな。
「都世地歩さん。私たちが……その、十年以上前に一度、会ったことがあるって知ってた?」
私はてっきり、今度はそれを聞いた都世地歩さんが私に代わって、五十分程静止するってオチなのかと思っていたのだけれど。
事態とは、思わぬ方向に進むものだと痛感した。
都世地歩さんは、緩やかに悪戯な笑みを広げて、こう言ったのだ。
「――――――全て知ってたよ?初めから」
「へ?」
おしまい。