理想の都世知歩さんは、
「ちょっと待って!」
「うん?」
呼び止めに、くるりともう一度振り返る。
どうしてかその眸がキラキラと何かを期待しているような気がしていて。うん。
ちがうんだ都世知歩さん。
「朝ご飯当番なので、先使っても…?」
「…」
「カオアライタイ」
「ふざけんな!」
えーーーー。
と思ったが、道は開けてくれたので洗面所は先を譲ってくれるみたい。一体何だというの。
怒っている?らしい都世知歩さんの前を通り過ぎるのは恐くてびくびくした。
「「いただきまーす」」
「衵、ソース取って」
「やだ!」
「!?」
「都世知歩さん、私の作った目玉焼きにソースはやめてください。塩胡椒か醤油にして!」
「朝からガミガミうるさいバアさんですね」
つんとそう言って、震える私をよそに勝手にソースを取って掛けてしまう。くっそおおおおおお。
悔しい私は見せつけるかのように塩胡椒を目の前で振りまくった。
掛け過ぎて、しょっぱいだろうという程。
都世知歩さんは胡椒の所為かくしゃみをした。
可愛いくしゃみだこと、と朝からガミガミうるさいバアさんは思った。
まあいい。
「それにしても都世知歩さんって、洗面所行って自室行って戻ってくると、なんか雰囲気変わってますよね」
「なんですか藪から棒に。格好良くなってるって言いたいの?」
「…」
否定できない。凄く腹立つ。
「嘘だよばぁーか」
嘘じゃないんだよばぁーか!!腹立つ!
「大人だからね。オンオフの切りかえってやつ」