理想の都世知歩さんは、
それから数日が経ち、毎日仕事のことばかりを考えて過ごしていた矢先。
都世知歩さんとのあの一件を思い出した私は、仕事で要らぬ失敗をしてしまって、落ち込みの激しい帰路についていた。
『こめちゃん!それ全部袋開けちゃったの!?』
左谷さんの声が、頭の中で何度もリピートして申し訳なさに心臓が痛む。
家への暗がりを、もう何度目かしれない溜め息をつきながら歩いて行った。
…不甲斐ないことこの上ない。ばかなのだ私は。
「うああああも「一人で何言ってるの」
「!」
あと一つ角を曲がれば家に着くというところで、背後からにゅっと聞こえてきた声に抱えつつあった頭を上げる。
「え、二雲…?」
当然聞き覚えのある声の持ち主は、我が親友二雲だった。
彼女は若干呆れを滲ませた表情で「こんな道端で。変な人だよ」と言い、私と一緒に家へ向かった。連絡しようと思っていたところでわかりやすいほど落ち込んだ人間が変な声を上げたのを聞いたから近寄ったのだとか。
少し久しぶりの二雲の顔を見たら、無条件に何だか安心した。
「でも、急にどうしたの」
何かあった?と着いた私の部屋で麦茶の入ったコップを手渡すと、何かあったっぽいのは衵の方だけどねと受け取られた。
…苦笑するより他ない。
「どうしてるかなーって思って」
へへ、と笑う二雲に涙が出そうになった。そろそろ新しい仕事に悩みも出始める頃かと思ったらしい二雲は凄い。タイミングの計らいセンスがある。
「あと、衵の家の近くにある本屋さんね、大きいの。漫画の新刊買ってしまった」
「うん?」
黒とグレーのボーダートートを漁る彼女はその中から漫画を取り出し、輝く目と一緒にそれらを向けた。
二雲は自他共に認める、所謂ヲタク系な女子である。