初恋は雪に包まれて
彼は面白そうにクスクスと笑う。その表情はあまり見たことのないものだ。
また新たな彼を発見だ。
「好きに呼べよ。」
「……いいの?」
「お前は俺の彼女だろ?」
……彼女!
もうきっと、この顔は寒さでは説明が出来ないほど真っ赤になっているだろう。
恥ずかしさで何も言えず、顔を上下させて頷くと、彼はまた顎で玄関を指した。
そろそろ家に入らないと、お互い風邪をひいてしまう。
……今日は色んなことがあった。
でもそんな日が、まさかこんな幸せな気持ちで終われるなんて想像もしていなかった。
これから彼と歩む未来には、どんなことが待っているのだろうか。
不安が無いと言えば嘘になる。だけど彼となら、どんなことでも大丈夫だと胸を張って言える。
……この幸福感を、彼を少しでも感じてくるていたら、嬉しいなぁ。
そんなことを考えながら鍵を回す。
ドアを開け片方の足を踏み入れる。それと同時にまた振り返ると、彼はこちらを見ていてくれていた。
「……気を付けて帰ってね。」
小さな声でそう言うと、彼は微笑んだのがわかった。
そして、あの優しい声が、また届いた。
「おやすみ、日和。」
Fin.