初恋は雪に包まれて
「わ、私、伊東くんとは、付き合えない、です……」
私の声だけが響いている。
伊東くんは表情を変えることがなく、また私から視線を逸らすこともなく、じっと鋭い瞳をこちらに向けている。
その視線から逃れるように、私は顔を少しだけ俯かせた。
しばらく、無言だった。気がする。
この時間が実際どれくらいだったのかはわからない。けれど私にとってはとても長く感じた。
どうすればいいのだろう。私何か言ったほうが……
「どうして?」
「えっ?」
「俺とは付き合えないんだろ?どうして。」
納得がいかない、とでも言うように彼はそう尋ねてきた。
それもそのはずかもしれない。きっと伊東くんに告白をされて断るような女の子なんていない。いや、ここにいるんだけど。