初恋は雪に包まれて


「俺のことを好きになればいいんじゃん。」

さらっとした言葉を、あたりまえのように吐き出す。

微かに笑った顔で、何を言い出すのかと思ったら、まさかそんな、そんな……



「す、好きってっ……そんな簡単に言わないでよ……!」

「でも他に好きなやつはいないんだろ?」

「そんなっ……!」

伊東くん、どうしちゃったのだろう。

無愛想で、何か考えているかわからない伊東くんが、まさかこんなことを言い出すなんて!

あぁ、もう、何がどうなっているのたろう。


あの伊東くんは私のことが好きで、そんな彼を私が振って、だったら好きになれと迫られている。こんな話、信じる人がいるのだろうか。


「そんな、無理だよ……私そんなに考えられない……」

「……考えられない?」


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