初恋は雪に包まれて
その言葉に、肩がぴくんと弾んだ。
「だって……田嶋くんにとって私はただの同期だろうし……。」
「そんなことアイツには関係ないだろ。上司だろうが患者だろうが、見境無しに頂いちまうようなやつだぞ。」
「えっ!そうなの?」
伊東くんの右手で両側から頬を潰されてタコのような口になったまま話す私の呑気な声に、彼の眉間の皺は更に深くなった。
……そうなんだ、田嶋くん。
今まで聞いた彼女さんたちはみんな社外の人だったから、勝手に社内の人には興味を示さないのだと思い込んでいた。
「……だから、私のことわざわざ追いかけてきてくれたの?」
あれは確か、十時前だ。
二次会はあの居酒屋がいい、やれカラオケだ、なんて様々な意見が飛び交う中で田嶋くんは私に声をかけた。
"こっそり抜けて俺の家でDVDを見よう。"と。
その言葉を間に受けた私はすぐに首を縦に振り、彼に着いていこうとしたのだ、