月光-ゲッコウ-

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社長との情事を相変わらず続ける中、社長に付き合って欲しいと言われて、本日オープンの高級レストランに訪れた。


オープン限定の特別コースの料理を食べながら、社長と軽い会話を交わす。


「ここのオーナーは私の古い友人でね。
大変苦労してきて、この年でようやく念願の店を出したんだ。」


『そうなんですか…。
では苦労時代を知ってる社長としても、大変嬉しい日なんですね。』


あたしがそう言うと社長はにっこり笑い、ワインをくいっと飲み干した。


「小田切社長?」


私もワイングラスに手をかけた時、急に声をかけられた。


「あぁ、やっぱり小田切社長。お久しぶりです。」


「おぉ、加雁(カガリ)くんじゃないか!
久しぶりだなぁ。」


かがり?


誰だろ?


社長の知り合いにしては少し若い気が…。


「紹介しよう。
私の第一秘書の新堂千歳だ。
こちらはライフモードの社長・加雁貢(カガリミツグ)くんだ。」


ライフモード?


最近急成長したIT会社だ。



「ライフモード代表取締役社長加雁です。
小田切社長とは、個人的にお世話になってます。」


『あ、第一秘書の新堂です。』


あたしは急いで立ち上がり会釈をすると、加雁さんはにっこりと微笑んだ。


若く見えるけど、年の頃は30歳くらいだろうか。


長身の社長より、少しばかりが背が高い。


目は切れ長の目で、綺麗な顔をしている。


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