キミのための声






学校に戻った頃にはもう
1限目が始まっていた。



教室に入った時、
陽と晃平が心配そうな顔で
あたし達を見た。



授業のあと2人に
何があったのかを聞かれて、
絶対誰にも言わないという
約束のもと、朝の出来事を話した。




2人によると、
喧嘩の噂はまだ全く
広まっていないらしい。



おそらく、葵くんに殴られた人達は
自分達があんなにボロボロに
されたことを知られたく
なかったみたいだから



多分誰にも言わないだろう。




葵くんは、分からないけど……




自ら退学になるようなことは
しないと思うから



きっと大丈夫だとは思うんだけど……




「…それにしても
お前の彼氏、ひでぇなぁ…」



眉を寄せてそう言ったのは陽。



あたしは頷くことも出来ずに
ただ座っていた。



「でも、ほんとに肩が
ぶつかっただけかは
分かんねぇんじゃねーの?
東高の奴等が勝手にそう
言ってるだけかも。」



その晃平の言葉を
信じたいと思った。



東高とは、今日葵くんに
ボコボコにされた人達が通う
男子校のことだ。



あの人達、大丈夫かな…。




「それでもそこまでやるか?
てか1人で5人も相手にする
なんて、普通じゃねぇって!」



「どんだけ強ぇんだよっ」と
どこか感心するように
陽が言った。




……ほんとにそう思う。




葵くん…




ああいうの慣れてるのかな。




あんな




冷たい表情で……





由香は、ただ顔をしかめて
机に寄りかかっている。



ぐだぐだと意見していた陽も、
重い空気を感じたのか
おとなしくなってしまった。




…そりゃそうだよ



こんな状況じゃ




誰も葵くんをかばえない。




確かに他に理由が
あったのかもしれないけど



あそこまで酷いことするなんて




やっぱり信じられない。







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