コイビト未満
「あれー菜成、飲んだ?フラフラしてる」
梨羽と別れ、ネガティブ全力で家に帰ると
家の前でバイト終わりの葵と一緒になる
葵の姿を見るたびに、
これ以上近づいちゃダメだっていう思いと
葵に触れたいっていう疚しい思いが交差する
「んー少しだけ、明日も実習だし」
「少しだけって…また酔っ払ってんじゃんー
酒弱いくせに飲んでんじゃねえよ
ほら、行くよ、捕まって」
千鳥足の私に差し出す手
こういうところで、
大丈夫、一人で帰れるから
って言えたら スマートなのに
どうしても甘えてしまう
言葉では言えなくても
差し出した手をぎゅっと繋いでしまう
それで葵は分かってくれるの
何も言わなくたって
私が葵を求めていること