キミとの距離は1センチ
ここは、わたしが住むマンションの一室だ。会社からは、電車で3駅行ったところにある。

医務室での一件の後、逃げるように家に帰ってきたものの……ひとりで部屋にいるだけでは、どうやっても、落ち着けそうになくて。

『今日時間ある?』と都に連絡をとったところ、まだ会社にいた彼女は自宅への帰路途中にあるわたしの家に、わざわざ寄ってくれたのだ。


……あの、ていうか。



「都、なんで驚かないの……?」

「え?」



テーブルの上のグラスに手を伸ばしつつおそるおそる訊ねたわたしに対し、都はきょとんと目を瞬かせて、同じくグラスに入ったアイスティーを口に含む。



「なにが?」

「なにって……あの、伊瀬がわたしのこと、すきって言ったんだよ? 普通そんなの聞いたら、びっくりしない?」

「だって別に、知ってたし」



あっさりと言われたそれに、危うくアイスティーを吹き出すところだった。

すんでのところで耐えて、コン!とグラスを勢い良くテーブルに置く。



「し……っ知ってた!!??」

「うん。だいぶ前から」

「え……えーーー!!!???」

「なによ、うるさいわよ珠綺」



面倒くさそうに言い放つ、彼女のせりふはもっともだ。

ここはマンションだし、近所迷惑になるから大きな声や音は控えた方がいい。


……でも、え?! 『知ってた』??!

伊瀬がわたしのことをすきって、都サン知ってたって??!
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