キミとの距離は1センチ
「な、なにそれ!? なにそれ……っ!!??」

「言っとくけど、伊瀬くんはわかりやすかったわよ。あんたが超絶ニブチンなだけ」

「え……えぇ……」



呆れ顔の呆れ声でそんなことを言われたら、もう口を噤むしかない。

……わたし、ニブチン? いやいやでも、今まで伊瀬、全然そんな素振り見せてなかったよね??



「だからあたし、よく言ってたじゃない。『伊瀬くんかわいそ~』って」

「う……っ」

「あまりにも珠綺が気付かないから、逆に伊瀬くんが不憫で仕方なかったわあ」

「うう……っ」



たしかに思い返してみれば、都はしょっちゅうそんなことを言っていた。

うう……自分の知らないところで生暖かく見守られていたのかと思うと、恥ずかしい……。


心を落ち着かせるために、アイスティーでのどを潤す。

そこでふと、ひとつの疑問が浮かんだ。



「……ねぇ、都」

「んー?」

「その、……伊瀬がわたしのこと、……って、だいぶ前から知ってたって……いつくらい、から?」



なんとなく言いづらくて、視線を落としながら、言葉が途切れ途切れになってしまう。

都は考えるようにあごに手をあてて、「うーん」と天井あたりに目を向けた。
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