キミとの距離は1センチ
「はい。……だってあんな場面見ても、関わりたくないと思うのが普通の反応じゃないですか。私だって、今回みたいに自分が当事者じゃなかったら……自分がこの状況をどうにかしようなんて、考えられないと思いますし」

「………」

「だから、ああやって、自分が悪者になってまで私をかばってくれた伊瀬さんは……すごい、です」

「……そうかな」



なんだか木下さんの中で自分が過大評価されすぎな気がして、思わず苦笑する。

……ううーん、さっきの彼女の言葉が、お世辞ではないとすると……この反応は、本意ではないな。

あんな、ヒーローまがいのこと、するべきではなかったか。



「俺そんな、いいヤツじゃないよ。わりと短気で自分勝手だし」

「そんなこと……」

「ああいう理不尽な言いがかりつけて来る人、嫌いなんだよ。……それに、俺はただ、カッコつけなだけ」



背後にある自販機の側面に背中を預けて話しながら、思わず自嘲的な笑みが漏れた。

何か言いたげに、木下さんがこちらを見上げているような気がしたけれど。

ふと思い立ったことがあって、彼女が口を開くのを待つことなく、また顔を上げる。
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