《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼
「いくぜなぎたん!草じゃなく神だけど、切っちゃえ切っちゃえー!」
「過激で元気な女の子だなぁ、嫌いじゃないけど」
朱祢の剣術は、消して美しいとは言えない。
矢鱈目鱈、その言葉が似合う。
刃に導かれてるとは言え、ふらふらとした朱祢の重心ではうまくいかないのだ。
――だが。
剣で受ければ、魔力が飛んでいく。
髪や衣服が触れれば、微量だが魔力が減る。
ラスクの魔力は高いとは言え、面倒な戦法だ。
「ちまちま削られるのは好きじゃないな」
にやりと美しく笑って。
バサッと黒い翼が現れた。
「…鳥!?お前鳥なの!?わぁあ!」
なぜかものすごく嬉しそうだ。
「なんでそう思うかな〜」
別に鳥だと思わせたくて出したのではない。
が。
「きゃぁ!やだぁ鳥なら早くいってよう!同類じゃん同類!」
敵対心ゼロになり、ラスクの背中をバンバン叩き出す。
くる、と裏に回って翼を見、歓声をあげた。
「すっげー!生えてる!ねぇ生えてるよこれ!」
「知ってるよ…?」
珍しい生き物を見つけた女子高生みたいにはしゃぎまくる。
「黒かぁ、カラスみたいで綺麗ー!」