泡影の姫
「それって楽しい?」

たまらず湊に聞いてみた。

「UFOキャッチャーの基本は、取れる物を探して、取りやすい位置に移動させること。一回で取ろうなんて考えず」

「すでに1500円も無駄にしてる人間に何言われても説得力に欠けるんだけど」

楽しいかどうかは自分でやって見れば分かるかと百円玉を入れてやってみた。
湊に倣ってボタンを操作してみる。
見当違いのところに開いたアームはぬいぐるみにかすりもせず、1ゲーム終了。

「へったくそだな~お前」

「……とりあえず湊にだけは言われたくない」

確かに初めてクレーンゲームをやった私は要領を得ていないけれど、いまだに戦利品の湊に言われるのは癪に障る。
もう一度お金を投入してチャレンジ。
今度は一瞬持ち上がるがぬいぐるみはするりとアームから滑り落ちて元あった場所に戻る。

「無理じゃん!!」

そもそも何のキャラクターなのか分からないこんなものに、百円の価値があるのか?
別に欲しくないし。

「第一、ぬいぐるみが欲しかったら買えばいいのよ。こんなところで取れるかどうかも分からないギャンブルに投じるほうがどうかしているんだわ」

「いや、だってこれ、そういうゲームだし」

そういった湊は、

「っしゃ、落ちた!!今日の戦利品」

と得意げにお菓子の箱を私の前に広げて見せる。
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