ショートケーキの王子様



声がした方を向くとバスケ男があんぐり顔で立っていた。




「おい!お前ら、こいつ熱あんだよ。だから出てけ」



バスケ男は女子たちの前に出て説得する。


だが、



「どきなさいよ!!」

「そうよ!そうよ!」

「ていうか、あんた誰よ!」

「そうよ!そうよ!」



熱でうなされる翔斗の目の前でバスケ男と怒りMAXの女子たちがぐちゃぐちゃの小競り合いの中、



誰かの女子のお尻がりんに当たり、床に尻餅をついてしまう。




「痛っ!」



もう何なの!!もういい!!帰る!!




「ん?」



手になにか感触がある。




「あっ。ピン留め……」



手の下にあったのは、冷えピタを貼るときに取ったイチゴのピン留めだった。



ふと小競り合いの中の隙間から、

翔斗を見る。
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