先輩。
走って、走って、走った。
階段ダッシュ、つらい。
でも早く、斗馬先輩に会いたくて…。
3階東教室。
ここだ!
いた!!
「斗馬先ぱ……っ!」
やば、話し中!!
とっさに壁に隠れる。
気づかれてない…?
セーフ。
話し中に話しかけたら、KYな子になっちゃう。
「もー、斗馬ってば!!」
どきんっ。
可愛い声…。
「ははっ、ごめんごめん」
楽しそうな斗馬先輩の声。
そっか。
あたし、何浮かれていたんだろう。
斗馬先輩の周りにはたくさんの可愛い人がいて…。
あーやって呼び捨てで呼べる先輩がいて…。
「あと1年…、早く生まれたかったな…」
斗馬先輩との距離が、遠く感じた。