僕のイケナイ先生(→『信じられない彼女ー僕のイケナイ先生』から改題)
「いいえ!横山先生の気に入っ
てるのは、女ったらしばかりだ
」どうやら、須藤君と大矢君
の事を批判したいようだが。

「僕も出来ないですね」
と琢磨少年も同意している。

この2人の少年は、学業が優先
なのだろう。

成績も悪くないし、琢磨は生徒
会副会長だから、人気もある。

「対立する先生が次々お止めに
なるっていうのはどう考える?
」と、玲於奈が訊くと。

「いびり。玲緒奈先生は、辞め
ないでしょう?先生は代わって
欲しくないんです」そう琢磨少
年が言った。

…それに、昔横山先生の取り巻
きが1人亡くなっているって噂も
あるし。あっとこれは極秘かな
」と何か訳ありな事を漏らした。

聞き捨てならない。

「転校してからですが。」と琢
磨君が付け加えた。

転校?横山先生の取り巻きが?
そして、死?

「教師だけじゃないのね。何か
ありそうですね」と玲緒奈が顔
をしかめると。

琢磨少年の目がキラっと光った


「やっぱり先生は、そう思いま
すか?」

「僕達と一緒です。探偵みたい
な事言うなと変わり者扱いする
のもいるんですけど」

一部の生徒の間では、囁かれて
いる見えない何か。

話しながら総合病院の前を通り
過ぎると、「あっこの病院!
先生担ぎ込まれないで下さい
ね」と前例を思わせるような
言葉を発して。

「玲緒奈先生も、気をつけた方
がいいです」大人びてそう言う
琢磨君達だけど。

私が狙われるっていう事なのか
、イケ先とは火花が散っている
から、充分に気をつけている。そう思った玲緒奈は微笑んだ。

それから、3人が漫画喫茶の前
にさしかかると、「先生、漫画
喫茶おごって」と言う。

「えっ奢るのはいいけど…。規
則では、寄り道は駄目じゃない
の?」と軽くにらんで玲緒奈先
生が答えた。

「あっ知ってたか」とおどけて
言うところは、まだ15歳の少年
らしい。

「寄り道はいけません」と玲緒
奈先生はイケ先と対照的だ。

「すみません」と素直に謝って
くる。悪びれていない。

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