我妻教育2
啓志郎くんは、そっとあたしの頬にハンカチを添えながら、

「他にも何かあったのではないか?何があったのか、もっと詳しく話してくれ」

慎重な口調で問いかけてきた。


「啓志郎くんには話したってわからないよ」


「そんなことはない」


「そんなことあるよ。…ごめん、帰る」


優しさを受け入れる余裕がない。愛想良く答えられない。


これ以上ここにいたら、もっと啓志郎くんを不快にさせてしまう。

そして、余計に自分のことも嫌になってしまう。


身体の向きを変えて歩き出そうとしたら、腕をつかまれた。


「待ってくれ」


「マイラ姫が待ってるよ。待たせちゃ悪いよ」


「今は未礼と話をしているのだ」
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