我妻教育2
「話はもう終わった」


そっけなく対応しても、啓志郎くんは手を離してくれない。

「終わってない。帰す訳にはいかぬ」


「…これ以上、あたしと関わったって、メリットないよ?」


「メリット?」

眉をひそめてあたしを見た。


「もう知ってるかも知れないけど、うちの会社、経営不振だし。あたしと関わったところで松葉グループにとって得することは何もないんだよ」


自虐的に笑って見せたら、啓志郎くんは、よりいっそう眉根を寄せた。


「会社が何だ。そんなことの為に、未礼と会っているのではない」
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