新撰組異聞―鼻血ラプソディ
仕方なく、男の子の肩に手を回し、男の子を支えて立ち上がり、歩き出す。

引きずるように……。



細いけれど、がっしりした子だ。

ぷよぷよしてない。

この筋肉の付き方は、普段から鍛えている体に違いないと思う。


洋装の服に肩から提げた黒い鞄、長い袋に包まれた中身は使い込んだ竹刀、それと大きな巾着袋。


可笑しな格好をしているが、剣士だ。
しかもかなりの腕前かもしれない。


直感する。


「可愛そうに、また連れて行かれんねんな」


「まだ若い子やのに、色仕掛けで骨抜きされるんやで」



――ふん、何とでも言ってればいいわ


思いながら、この子は今まで相手にしてきた不逞浪士とは違うという、実感がある。


連れ帰って、あの人がどう判断するのか――わからないけれど、この子は戦力になる。


本能が教えている。


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