(仮)
「あ、純ーーーっっ!!!」
スマホをいじりながら待っていたら、蒼の声がした。
「蒼!!! ひさしぶりーーっ、ってか軽自動車で来たの?」
自動車の運転席の窓から蒼の顔が見える。
「うん、透さんが純はこういうの嫌がるだろうってさ。 しかも、公立高校だし、駐車場のこともあるよ」
「そっかぁ、考えてるんだね」
「じゃ、ちょっととめてくるよ」
そういって、運転席の窓がブイーンと閉まる。
そこから3分くらい待ったら、3人がやってきた。
「純さぁん!!! 久しぶりですねぇ! きゃーっ!」
走りながら、私に抱き付いてきた愛優未。
「愛優未!! ひさしぶり、元気にしてた?」
「してたしてた!! しかも、」
私から離れて、着ていた服の刺繍を見せてくれた。
「純さんのあとを継いだんですからね!!!」
女子部総長、あゆみ と達筆な字の刺繍が施されていた。
「わー! すごい!!! よかったね、ずっとなりたいって言ってたもんね!」
「そうなんです!」
「おぅ、愛優未はイイ仕事してくれるよ。 もしかしたら、純以上かもしれないね」
そう言葉をかけたのは、透さんだった。
「透さん!!! お、お久しぶりです!」
「おうよ」
見上げるほど高い身長で、すべてがかっこいい人。
まだ全然若くて、今は27歳だったかな。
昔、ちょっと恋心を抱いていたこともあった。
今は完全に吹っ切れたけどね。
「いいなぁ~、純さんすっごいかわいい制服! めっちゃくちゃ似合ってますよ!」
愛優未は、私よりも身長は低いしかわいい顔立ちで、私のひとつ下。
平均的な中学3年生よりも、ちょっと子どもっぽいところがあるけど、それもかわいい要素になる。
「にしても、純が高校に進学するなんて誰も思ってなかったよなぁ~」
「あー、確かにねー。 愛優未がいなきゃ、今は浪人してただろうなぁ」