サッカー王子と同居中!
「すみません!あたしボール取りに行ってきます」
あたしはボールの転がる方向へ急いで走った。
は、恥ずかしすぎる!!
いくら初めてリフティングをやるからって、上に飛ばすどころか前に飛ばしちゃうなんて。
絶対、一ノ瀬先輩笑ってるよ……。
あたしが一ノ瀬先輩のところに戻ると、彼は笑うことなく「最初はみんなそんなもんだよ。暇になったらやってみて!」と言ってくれた。
そしてみんなに向かって「休憩5分!しっかり水分摂れよ!」と指示をしてグラウンドの外へ歩いて行った。
「あたしもいつかあんな軽やかにリフティングできる時が来るかな」
あたしは一ノ瀬先輩の背中を見つめながらそう呟いた。
できるかどうかは分からないけど、それでも一ノ瀬先輩が言ってくれたってことは
あたしにもできると思って言ってくれたことだもんね。