1%のキセキ


「あら、お邪魔してもいいの?正直あの子さ突然来るもんだから、2人でご飯ってのも気まずかったのよねー、ほらあの子無口だから」

そう、ぶっちゃける晶子さんに、妹が鼻の穴を大きくさせながら言う。

「そのクールなところがいいんです!」

「本当、真結は宗佑君のこと好きねー」


久しぶりに会うそうちゃんに、2人ともウキウキだ。


だけど私はもう気が気じゃない。
いかにこの場を切り抜け、どう帰る方向へ持っていこうか足りない頭で必死に考えていた。

彼とそうちゃんを引き会わせる訳にはいかない。
あの写真の正体に会わせるなんて……。

あの時の彼の怒りが再熱しかねない。


「私達は、もう……」

そう言って彼の顔に目配せするも、彼はその食事会の乗り気だ。


「どうした?何か用事でもあった?」

「……ううん」

あまり乗り気じゃない私に気付いた彼が察して、小声で声をかけてくれた。

……ダメだ。
帰る適当な理由が見つからない。


そうちゃんに会えるとなって、化粧直しをし始めた母。
真結もご機嫌に鼻歌を歌いながら、手鏡を見つめている。

晶子さんはそうちゃんに声をかけてくると、一旦家に帰った。


どうしよう、何も起こらなければいいけど……。

嫌な胸騒ぎがする。

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