1%のキセキ


俺はこの時、何も気付けなかった。

昔から、未結は嘘のつけない子だった。いや、差し障りのない嘘は平気で言うのだが、顔にすぐ出てしまったすぐバレてしまうのだった。

だけど、その時未結のついた嘘に俺は全く気付くことができなかった。頭の傷に異変さえ感じることができなかった。

昔から彼女の取り巻く世界は、彼女を中心に明るく陽気なものだと思っていて、深刻な問題だとかそういうものとは無縁な世界にいる人間だと思っていたから。

それは大きな間違いだったことを、後から思い知らされることになるとはこの時は思いもしなかった。



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