ひまわり
「…俺、永峰さんが転校してからも、ずっと好きだったんだ。誰に告白されても、付き合う気になれなかった。だから…高校で気がついた時、すごい嬉しかったんだ。」

思い出しながら、嬉しさを噛み締めながら、森くんは話している。

「好きだった。また小学校の時のように話がしたかった。でも、なかなか機会がなくて、声をかけたあの日、永峰さんが一人でいて【チャンスだ】って思ったんだ。俺のことを思い出してもらって、もう一度、告白するつもりでいたんだ。」

そんなにも私のことを想っていてくれてたなんて、考えてもいなかった。
覚えていないことを、申し訳なく思ってしまう。

「記憶喪失だって聞いて…戸惑ったし、斎藤さんにキツく言われたから、しばらく連絡をしていなかった。」

「…キツく言われた…?」

ずっと黙って聞いていたが、気になる言葉に、口を挟んでしまった。
森くんは言いづらそうに答えてくれる。

「遊園地に行った日。颯人たちと別れた後、斎藤さんと少し二人で話したんだ。『森くんが好きなのは今の結麻?昔の結麻?』って。答えられずにいたら…『昔の結麻の面影を探すなら、結麻に近づくのは止めて。そばにいたいって言うのなら、今の結麻を見て』って言われた。『結麻を苦しめることだけはしないで』ってさ。」

そんな風に言ってくれていたなんて知らなくて、私は驚いた。
いつも一緒にいる時の愛実は、ふざけて、からかってくることが多いのに・・・自分の知らないところで守られていたなんて、知らなかった。

親友の優しさに心が暖まっていると、遠くから私のことを呼ぶ声がした。
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