私と彼の恋愛理論
あれから、私たちは一緒に暮らし始めた。

でも、あんなに私に愛を囁きまくっていた尚樹はどうやらあの日限定だったらしく。

翌日からは、いつもの尚樹だった。

呆れたような顔で私を見つめて、私を容赦なく正論で説き伏せる。

それでも、私は幸せだ。

仕事で遅くなるのは相変わらずだが、毎日彼は私のところへ帰ってくる。

自分の部屋なので当たり前だけど。

私は、朝起きるといつのまにか彼の腕の中にいる。

毎日作るお弁当は必ず完食してくれる。
うれしかった私は、早番の日には会社まで夜のお弁当も届けるようになった。

別に気にしなくていいと言ったのに、律儀に私の実家まで挨拶に来てくれた。

「すぐには無理ですが、仕事が落ち着いたら結婚したいと思っています。」

私が席を外している間に、両親にだけ告げてくれた言葉。

私はずっと聞いてない振りをしているけど。



彼の意見に、感情がついていかなくなることもある。

でも、彼を以てしても絶対に説明できない感情が私に向けられている限り、私は彼のことを絶対に信じようと思う。


彼の行動には必ず理由がある。

それが必ずしも合理的な理由だとは限らないこと。

知ってしまったから。



私も変わりたい。

いつか、あなたのことを全て理解できるように。
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