ラザガ
輸送車の通信機から、野太い声がした。
「ミチっ!大丈夫かっ!ミチっ!」
ミチは我に返った。その声を聞いて、再び目に涙を浮かべる。
来てくれた。やっぱり助けにきてくれた!
「お父さんっ!」
「ミチっ!……よかった。無事だったんだな。……よかった。よかった、よかった……!」
その声、破藤豊作の声は、涙交じりになった。
「お父さん!いまどこにいるの?」
「何言ってんだ。すぐそばにいるじゃないか。お父さんはいま、車の前の『それ』に、乗っているんだ」
ミチは、ゆっくりと窓から外を見た。
輸送車の前に、見上げるほどの巨大な機体が、どっしりと立っていた。
それは猛牛のような形をしていた。四足で立つ、野獣を模した機体だ。
頭部に、頑とした感じの長い角が二本ついている。
全身が黄土色に包まれていた。
太い機体であった。
頭が太い。
角が太い。
首が太い。
胴が太い。
足が太い。
二つの目を模したカメラアイも太い。
いまにも、地面が割れ、沈みだしそうな、そんな重量感を感じさせる機体であった。
この機体が、いまさっき、あの体長一キロメートルもあるリリーを、遥か彼方まで吹き飛ばしたのだ。
「ラザガ我王っていうんだ」
豊作が、自慢げに言った。