あの頃の君へ



「ただいま~」



結局家に着いたのは日付が変わる直前くらいになってしまった。



家の中はシーンと静まり返っていて、電気も付いていない。



えっ!帰っちゃった!?




急いでリビングに入ると、いきなり破裂音が耳元で鳴った。



「うわぁっ!!何っ!!」



「……遅い」



陽気な音に似合わず、不機嫌オーラを纏う彼……拓真。



「ごめんごめん、残業になっちゃって……てか何故クラッカー?」



「だと思った……ついに自分の誕生日まで忘れるとはな」



「へっ……あー!じゃあ明日は拓真の手術成功記念日じゃんっ!忘れてた……」



私としたことが……


こんなに嬉しい記念日を忘れるなんて……



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