あの頃の君へ
3年前のあの日、拓真の手術は奇跡的に成功した。
本当に奇跡的に、だそうだ。
拓真はそれから医者になる夢を持ち、医大生として日々忙しく過ごしている。
そんなわけで忙しい二人の都合が合う日はなかなか無いわけで……
なのに……っ、忘れるなんて一生の不覚……!
「いや、今日はそっちじゃないから。それに俺のは別に祝う程のもんでもないし」
「なっ、何言ってんの!奇跡だったんだよ!わかる!?今ここに一緒にいられるのも!」
「俺にはみのりが生まれてきてくれたことの方が奇跡なの」
「……っ」
やられた。
「してやったり?」
頬が熱くなるのを感じていると、拓真は満足気に笑って私の手の引いた。