ロクデナシの恋


タバコの匂いを纏って帰ってきた日、
藤堂は私を抱くことはしない。


軽く唇を重ねて
隣で優しく触れて、

あとは疲れた体を休ませて
深く眠るだけ。



藤堂の唇の奥深くに、
タバコの残り香はない。


タバコの匂いを嫌う私への
ささやかな気遣いなのか、

単に藤堂が
その口のなかに残る苦味を
嫌悪しているかはわからない。


浮気をしてきた日の藤堂は
バカみたいに私に優しい。


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