薫子さんと主任の恋愛事情

「嘘でしょ……」

ありえない光景に絶句していると、麻衣さんが私の肩にポンと手を置いた。

「薫子は隠してたつもりだろうけど、バレバレだったってこと。今朝だってそう。薫子の行動は、いつもわかりやすいんだから」

「わかりやすい……」

でも麻衣さんの言葉は、私を馬鹿にしてるわけでも、からかうわけでもなく。その言葉は優しくて、心に温かいものがこみ上げる。

でもだからと言って、問題が解決したわけじゃない。

私の二次元好きは置いといて、大登さんとの交際がバレてしまった事のほうが大問題で。

「八木沢主任……」

どうして私とのこと、みんなに話してしまったんですか?と目で訴えれば、それを読み取った大登さんは私の頭にポンと優しく手を置いた。

「おまえ、なんか勘違いしてないか?」

「勘違い?」

大登さん、何を言ってるの? どこの何が勘違いなのか、全くわからないんですけど。

まだ雑談をしている他の面々を見ても、答えらしきものは見当たらない。ただその場の雰囲気は和みムードで、私と大登さんのことを聞いた後だというのに普段と変わっていなかった。



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