薫子さんと主任の恋愛事情
「金曜日だから泊まっていけ」
大登さんはマンションに着くなりそう言って、お風呂にお湯を張り出す。
最近は泊まることも多くなって着替えやパジャマも置いてあるとはいえ、今日はそのつもりがなかったから少しだけ戸惑う。
でも今更『顔が見たかっただけ』とも言い難く泊まることにすると、ダイニングに向かった。
「大登さん、コンビニで何買ってきたんですか?」
ダイニングテーブルの上に置いてあるビニール袋に手を掛けると、大登さんが慌ててそれを奪い取る。
「薫子と飲もうと思って、酒とつまみを買ってきただけ。それだけだから、何も気にするな」
大登さんはそう言ってビニール袋を抱きしめると、そそくさとキッチンへ入っていった。
お酒とつまみを買ってきただけなら、そんなに慌てることないのに。その態度プラス気にするなって言われると、どうにも気になってしまってしょうがない。
「大登さん、そう言われると気になるんですけど」
私もキッチンに行くともうビニール袋の中には何も入っていなくて、大登さんもすっきりしたような顔をしている。
「はい、薫子はカクテルチューハイ」
おしゃれなデザインのそれを私に渡すと、大登さんはビールのプルタブを引き起こして開け「カンパイ」と私のチューハイにコツンと当てた。