薫子さんと主任の恋愛事情
「幸ちゃん、薫子のことが大事なら、そっと見守るのもお兄ちゃんの役目よ」
「うぅ……」
痛いところを突かれたのか幸四郎はぐうの音も出ないようで、諦めたように私の隣に座るとため息をついた。
「わかったよ。この件、恭兄たちには俺から伝えておく」
偉そうに。一体この人、何様のつもりだ。
でも、そうしてくれるとありがたい。なに幸四郎意外の兄貴達も、アクの強い人たちばかりで私の手には負えない。
長男の恭一郎、次男の聡二郎、三男の勇三郎、そして四男の幸四郎。どれも曲者揃いで、参ってしまう。
「よろしくね。あ、幸四郎。今日って少し時間ある?」
「時間? 俺、今日は休みだから夕方から用事あるけど、それまでなら。なんかあるのか?」
「うん。ちょっと買い物に付き合ってほしくて」
「買い物?」
幸四郎は不思議そうな顔をして、私を見つめた。