姫は冷血王子の所有物



「いや、もういい。それより、早く仕事終わらせろよ。金山と合コン行くんだろう?」











(あぁ…。またこんな言い方…。)










いつもの悪態をかましてしまう自分にまた反省する。










彼女ともっと一緒にいたいのに、なぜこんなことばかり言ってしまうのだろう。










彼女が好きなのに、なぜ素直になれないのだろう。










そんな自分が情けなくて、彼女を遠ざけてしまう。










そして、彼女は怒って合コンという出会いの場へ行ってしまうのだ。










本当は止めたくて仕方ないのに。










俺の口は言わなくていいことしか言わない。










“俺の側から離れるな”と。










ただそう言えばいいだけなのに、俺はその言葉が言えない。










そんな自分が情けなくて、彼女が仕事を終わらせて出ていったあとも、しばらく彼女のデスクの前から足が動かなかった。


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