これが私の王子様
「で、でも……」
「恥ずかしがらない」
「相手は王子様と、その友人でしょ」
「そういうけど、普通の生徒よ」
そう詩織は笑いながら話すが、ゆかは笑えなかった。
青藍高校の王子様は、名前を結城和人(ゆうきかずと)という。
直樹が学年トップの座を争っているのは彼で、先生からも期待されている秀才。尚且つスポーツも万能で、容姿端麗のおまけ付き。
それに実家がお金持ちなのだから、多くの女子生徒が騒がないわけがない――と、詩織は説明する。
「まさに、王子様ね」
「そういう人って、物語の中だけだと思っていたわ」
「でも、本当にいるのだから事実よ。それにお金持ちっていっても、ただのお金持ちじゃないのよね」
「どういう意味?」
「彼、御曹司よ」
詩織の言葉に、ゆかの思考がいったん停止してしまう。
そして、再起動を果たした後「えっ!?」っと疑問を口にし、詩織に言っている意味がいまいち理解できないことを伝えた。