これが私の王子様
「そうよね。普通は、そういう反応しかできないもの。でも、御曹司というのは本当のことよ。それもこの国で三本の指に入る、巨大グループの御曹司。騒がれるのは仕方ないわね」
「でも、御曹司って……」
「お金持ちの学校に通うのが普通だけど、結城君の場合は特別な事情があって……後で本人に聞くといいわ」
「教えてくれるかしら」
「大丈夫じゃない。彼、いい人だし」
と言われたところで、ゆかは転校生なので例の王子様とは全く面識がない。
詩織は学年が同じで、尚且つ顔見知り。それに気兼ねなく話せる間柄なので、プライベートの部分まで聞きだせる。
本当に、大丈夫なのか――
と、不安を覚える。
それにこれほどの人気者と、一緒に昼食を取る。転校生の分際で――と言われるのではないかと、そちらの面でも心配する。
「私がいるから、気にしない」
「詩織って、騒がないの?」
「結城君に?」