これが私の王子様
「逃げるか」
「だね」
三人は女子生徒達に気付かれないように、そそくさとその場から立ち去る。
三人が立ち去ったことに気付いていない女子生徒達は、相変わらず言い争いを続けていた。
幸い殴り合いにまでは発展しなかったが、一歩間違えれば血を見る勢いがあり、男子生徒達は完全に引いていた。
「ちょっと」
そのように声を掛けてきたのは、詩織。
彼女は周囲の様子を確かめながら、手招きしている。
「屋上に」
「了解」
三人は同時に頷くと、階段を駆け上がり屋上へ向かう。
この場所は、滅多に生徒が立ち入らないので静かで落ち着く。
ドアが閉まると同時に三人は盛大な溜息を付くと、とんでもないことになってしまったと嘆く。
「あの騒ぎは何?」
「俺達が悪いんだ」
「どういう意味?」
「実は……」