これが私の王子様

 途切れ途切れに、薫は理由を話していく。

 そして全ての話を聞き終えると、詩織は項垂れてしまう。

「そ、それは……」

「まさか、ここまでなるとは思わなかった」

「なるに決まっているでしょ! ならない方が、おかしいに決まっているじゃない。しかしこの調子だと、なかなか治まらないでしょうね。本当に、周りの迷惑を考えてほしいわ。いつもいつも……」

「和人、何か言ってやれ」

「何を?」

「黙れって」

「本当に、言っていいのか?」

「言うしかないだろう。あのままじゃ、授業もまともにできないぞ。お前、あのような戦い嫌いだろう?」

「まあね」

「それに、水沢さんが可哀想だぞ」

 急にゆかの名前を出されたことに、和人は人差し指で頬を掻く。

 確かにこの状況で一番ストレスを抱えているのは、ゆかだろう。

 このままでは、上手くいくものもいかなくなってしまう。
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