これが私の王子様

「じゃあ」

「授業には、遅れるなよ」

「頑張ってね」

 と、三人は手を振り言ってしまう。

 空しく周囲に響くのは、ドアが閉まる音。

 次の瞬間、和人は盛大な溜息をついた。

(しかし、この状況をどうすれと……)

 反応がないゆかに、和人は困惑してしまう。

 一体、いつになったら意識を取り戻してくれるのか、全くわからないからだ。

 といって、身体を左右に振って無理矢理――というわけにもいかないので、仕方なくその場で待つことにした。

「あ、あれ……わ、私……」

 数分後、ゆかが意識を取り戻す。

 自分が置かれている状況をスッカリ忘れてしまったのか、オドオドと周囲を見回している。

「水沢さん」

「ゆ、結城君」

「思い出した?」
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