これが私の王子様

「わ、私は……」

「言ったように、御曹司だからといって騒がれるのは嫌いなんだ。だけど、水沢さんは違った」

 そこまで言うと何かを見付けたのだろう、視線が別の方向へ向けられる。

 和人が見ていた先にあったのは、一軒のコンビニ。彼は「待っていて」と言い残すと、何か用事があるのかコンビニの中に入って行く。

 数分後――

 ビニール袋を下げ、和人が戻って来た。

「はい」

「有難う……ございます」

「カフェラテでよかった?」

「好きな飲み物です」

「よかった」

「あのー、その中身は?」

「ああ、腹が減ったから買った」

 和人が下げていたビニール袋の中には、おむすびと大量の菓子パンが入っていた。梅と書かれているおむすびと取り出すと包装を乱暴に破ると、大きな口を開け一気に齧り付いた。
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