LB4
そう決めて、頑に前方だけを見て、朝のホームルーム、1限、2限、3限を終えた。
4限、今日の生物は移動教室だ。
視聴覚室で、遺伝子の構造についての教材ビデオを見るという。
この部屋は列ごとに段が違い、後部座席ほど高い位置に設置されている。
あたしと恭子と織恵は、一番後ろの右端の席に座った。
田中が左端の席に座ったのを確認して、ビデオの上映を待つ。
「それでは再生します」
先生が機械を操作すると、室内の明かりが消え、音が鳴り、スクリーンの映像が動き出す。
役目を終えた先生が静かに準備室へ入った直後、スカートのポケットに入れていた携帯が震えた。
振動のパターンから、メッセージを受信したのだとわかる。
後部座席に座っているのをいいことに携帯を取り出し、画面をチェック。
『今朝のアレは俺への当て付けか』
田中からだった。
アレとは言うまでもなく、男を紹介しろと言い出したことである。
『違うし。出会いが欲しいだけだし。自意識過剰じゃない?』
そもそもあたしは大人の男が好きなのだ。
あんたなんか、タイプじゃない。
送信。
返信はすぐに来た。
『無駄なことすんなよ』
無駄って何よ。
あたしなんか大人の男に出会ったところで相手にされないっていうの?
『あんたに関係ないじゃん』
送信。